ファブリー病の治療方法

酵素補充療法

ファブリー病の主な治療法として、「酵素補充療法<こうそほじゅうりょうほう>」があります。ファブリー病は症状がない間にGL-3が少しずつたまって、病気が進行してしまう病気ですが、酵素補充療法により、ファブリー病の進行を抑えることができます。

酵素補充療法は、不足しているα‐ガラクトシダーゼ(α-GAL)酵素を点滴によって体の中に補充することで、臓器の細胞内に蓄積したグロボトリアオシルセラミド(GL-3)が分解され、症状の進行を抑えることができます。

ファブリー病の治療薬は「リプレガル」「ファブラザイム」というお薬です。
2週間に1回の点滴で、1回の投与時間は「リプレガル」が約1時間、「ファブラザイム」は約3時間です。定期的に血液検査や尿検査などを行い、効果を確認したり、副作用がないかどうかチェックします。
酵素補充療法

酵素補充療法の副作用

薬の投与中、または投与終了後1時間以内に、以下のような症状があらわれることがあります。

  • 悪寒
  • 顔面紅潮(ほてり)
  • アレルギー反応
    (頭痛、呼吸困難、腹痛、嘔吐、胸痛、そう痒、浮腫、じんましん等)

酵素補充療法の副作用

このような症状が出た場合には、すぐに周囲にいる医師、看護師に伝えてください。点滴速度を遅くしたり、抗ヒスタミン薬や副腎皮質ホルモン剤などの投与をすることで、症状を緩和させることが可能です。

その他の副作用としては、倦怠感や四肢疼痛(ししとうつう)、下流涙異常、振戦(ふるえ)、めまい、注射をさした箇所のかゆみや腫れ(はれ)などが報告されています。

また、薬に対する抗体ができる場合もあります。抗体ができることにより、薬の効果が減弱することがあります。しかし、ほとんどの場合で薬を続けて使うことにより、抗体が少なくなったり、薬の効果が回復しています。

これらの他にも、投与中や投与後に気になる症状やいつもと違う症状があらわれた場合は、必ず医師または看護師に相談してください。

シャペロン療法

シャペロン療法は働きが悪い酵素α-ガラクトシダーゼ(α-GAL)の構造を安定化させ、酵素としての働きをサポートし、GL-3をためずに分解できるようにする治療法です。2日に1回、飲み薬を服用します。
全く酵素ができない場合やもともと酵素活性がない場合には効果がないため、投与前に患者さんの遺伝子の変化を調べる必要があります。


各症状を抑える治療

心機能障害
心肥大や心不全が現れた場合、ACE阻害薬、ベータ遮断薬、利尿薬、強心薬などで治療します。さらに悪化したときには、心臓のバイパス手術やペースメーカーの装着などが行われる場合もあります。

腎機能障害
たんぱく尿を抑えるために、減塩やたんぱく質制限などの食事療法が行われます。さらに進行し腎不全を起こした場合は、透析や腎移植などが行われます。また、腎臓病は動脈硬化のリスクを高めると言われているため、脂質の代謝をコントロールする飲み薬が処方されることもあります。

脳血管障害
脳梗塞が起きた場合、血液を固まりにくくする薬などが処方されます。外科的治療が行われる場合もあります。

手足の痛み
痛みを抑える薬が処方されます。

皮膚の赤い発疹
レーザー治療で除去することができます。

胃腸の症状
胃腸の働きが悪いときは、低脂肪食などの食事療法を取り入れたり、胃腸の動きを助けるような薬が処方されます。

(引用元:https://www.lysolife.jp/about/fabrytreatment.html

日常生活の注意点

ファブリー病の疼痛発作は、体力の消耗、精神的なストレス、疲労、環境(温度や湿度)の急激な変化によって引き起こされることが多いといわれていますので、日頃からこのような発作因子をなるべく避けるようにしましょう。
ファブリー病は腎臓に障害をもたらす可能性がある疾患ですので、腎臓の機能に影響が出ていなくても、塩分やたんぱく質の取りすぎには注意しましょう。
ファブリー病では、呼吸器疾患との関連についても報告がありますので、喫煙により重症化する可能性があります。また、心臓や肺の機能を維持するために、喫煙はしないようにしましょう。
健康な生活習慣

(引用元:https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/zinzo/about/disease/kanja02_10.html