ファブリー病の症状
ファブリー病は、細胞内リソソーム(ライソゾーム)の加水分解酵素の一つである「α-ガラクトシダーゼ(α-GAL)」という酵素の遺伝的欠損や活性の低下により起こる病気です。
この酵素は「GL-3(グロボトリアオシルセラミド、別名セラミドトリヘキソシド:CTH)」という糖脂質を分解する働きを持ちますが、活性が不十分だと分解されなかったGL-3が徐々に全身の細胞や組織、臓器に蓄積していきます。蓄積したGL-3がある一定量を超えると、疼痛を含む神経症状、被角血管腫(ひかくけっかんしゅ)、角膜混濁(かくまくこんだく)などのほか、心機能障害、腎機能障害など、さまざまな症状が出現します
ファブリー病は全身のさまざまな臓器・器官に症状が現れる
ファブリー病はグロボトリアオシルセラミド(GL-3)(分解できないもの)が全身のさまざまな臓器・器官にたまり、さまざまな症状が現れます。症状が現れる時期や程度は個人差があります(図1)。
主な症状
-
消化管症状
-
胃腸障害
-
食後の腹痛や下痢、嘔気、嘔吐など。
-
-
-
神経症状
-
四肢疼痛
-
手先、足先に発作的な疼痛が生じ、数分から数時間持続します。また、持続的な感覚異常(鈍くなる・しびれる・チクチクする)も起こることがあります。
-
-
聴覚低下
-
聞こえにくく、耳鳴りが生じることがあります。
-
-
-
皮膚症状
-
被角血管腫
-
赤紫色の発疹が、胸部、腹部、臀部、陰部、大腿などに出現します。痛みやかゆみはないと言われています。
-
-
低・無汗症
-
発汗機能が障害され、汗をかきにくくなり、体温調節ができなくなります。
-
-
-
眼症状
-
角膜混濁
-
角膜に渦巻き状の混濁が確認されます。
-
-
-
腎機能障害
-
蛋白尿・腎不全
-
尿中のタンパク量が増加し、その後、腎不全にまで至る場合があります。
-
-
-
心機能障害
-
心肥大
-
心肥大や心筋梗塞、弁膜異常などを呈し、腎不全と同様に重篤な臓器障害の一つです。
-
-
-
脳血管障害
-
脳梗塞や脳出血を起こし、記憶障害や運動麻痺を来たす場合があります。
-
-
精神障害
-
うつ症状をきたすこともあります。
-